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Episodes

最果てへの逃避行

Episode17

Date:
2023.11.11
染谷千冬・染谷千秋
シナリオ制作者:
カンデラ様
シナリオ頒布先:
pixiv

本編

あなたは人々の行き交う道を、どこか上の空で歩いている。 心ここにあらずといった様子かもしれないし、他人に肩をぶつけてしまうかもしれない。ぐるぐると思考が巡り、とても冷静とは言えない状況であることは確かだ。 何故、これほどまでに心がざわめき、どうしようもない焦燥感に襲われているのか、あなたには嫌というほど心当たりがあるだろう。 ややおぼつかない足取りで歩みつつ、あなたはその原因とも言える三ヶ月前の出来事をぼんやりと想起する。 それは、分厚い雲に月の隠れた闇夜だった。 あなたは仕事の帰路についていた。 静かで穏やかな夜。いつも通りの一日を終え、家に帰り、眠りにつく。 そしてまた代わり映えのない日々が始まる。――そのはずだった。

染谷千秋 : 「……千冬」

背後で、声が響いた。 冷たさを孕んだその声音に、あなたは一瞬背筋に寒気が走る。恐る恐る振り返れば、暗闇の中で僅かな街灯に照らされた人影が浮かび上がっていた。 あなたは突然の状況に困惑し、すぐにその正体に気が付いて動きを止めることになるだろう。 彼はアルバイトに行っていて、ここにはいないはずだったから。

でもそれは、あなたのよく知る千秋だった。 見慣れたいつもの顔、いつもの声、いつもの――彼。 しかしその表情をよく見てみればひどく強ばっており、どこか仄暗い、思い詰めたような表情をしているのが見える。どうしたのかと不審に思ったあなたが無意識のうちに一歩近付いたと同時に、ぎらりと闇に煌めく何かが突き付けられた。

染谷千秋 : 「……なあ、頼むよ」

ぼそりと呟かれたその言葉を、あなたは果たして認識できただろうか。 他でもなく千秋が持っているそれは、夜闇よりも黒く光る――拳銃。 その銃口は、あなたの額に真っ直ぐ照準を合わせられている。 その向こう側に見える彼の双眸には迷いがなく、明確な殺意があなたの頬を突き刺すだろう。

染谷千秋 : 「……頼むから、死んでくれ」

親しい人間からの殺意を真正面から受け止めたあなたは SAN/C【0/1】。

染谷千冬 : 1d100<=47 【SAN値チェック】 (1D100<=47) > 56 > 失敗 [ 染谷千冬 ] SAN : 47 → 46

あまりの出来事にあなたが呆然としていると、不意に雲が途切れ、月明かりが一瞬千秋の顔を照らした。 彼は辛そうに顔を顰め、それでもなお拳銃を下ろそうとはしない。

聞き耳をどうぞ。

染谷千冬 : CCB<=32 【聞き耳】 (1D100<=32) > 27 > 成功

小さな声で、千秋が「ごめん」と呟いたのが聞こえる。 ふ、と目の前が暗くなる。 あまりの出来事に意識が遠のいたのかと思ったがそうではなく、再び雲が月を覆い隠したのだ。 はっと前を見てみれば、そこには既に誰もおらず、街灯の少ない長い路地が伸びているだけであった。 ――その夜を境に千秋は姿を消した。 自宅や知人の家、職場などを訪れたとしてもその姿はなく、例え警察に相談したとしてもこれといった手掛かりは掴めない。 そして月日は流れ、三ヶ月が経過した。 相変わらず千秋とは連絡がとれない。

あなたは彼の確かな殺意の込められた視線と、突きつけられた銃口が忘れられず、嫌な胸騒ぎを抱えたまま日々を過ごしている。 今日は休日。人波を避けるようにあなたは歩を進め、自宅へと歩いていた。日常のピースが欠けてしまったような、形容しがたい違和感を胸の奥に仕舞い込みながら。

染谷千冬 : (……千秋はあんなこと言わない。絶対、何かに巻き込まれたんだ) 染谷千冬 : (このままでいいわけがない、でも、俺に何ができる? どこを探してもいなかった。前の家も、思い出の場所も……俺は何もできないまま、ただ待つことしか……嫌だ、こんなふうに二度と会えなくなるのは嫌だ。千秋……) 染谷千冬 : ぼんやりとしながら歩いてます。

ぼんやりとしながら歩くあなたの耳に、ふと、街頭テレビから流れてきたアナウンサーの声が入ってくる。 「ここで速報です。 昨夜未明、篠宮病院に強盗と思われる男が押し入り、薬品の一部や書類等を盗もうとした事件が発生しました。 警察は犯人を全国指名手配し、防犯カメラの映像を公開しました」 どうやら昼のニュース番組が放送されているらしい。 何気なくそちらを見れば、大きく現代的な病院の外観と、やや荒らされた診療室が画面に映し出されている。 そして画面が切り替わり、備え付けられた監視カメラの映像になる。 どうやら深夜らしく、最低限のみ照らされたライトのみが煌々と光っていた。 そんな中、突然一人の男が駆けていく。フードを深く被り、俯き気味で病院から立ち去ろうとしているようだ。周囲を気にするような素振りを見せた拍子に、被っていたフードが捲れ、男の顔が露わになる。 画面いっぱいに映し出されているそれは、紛れもなく、あなたの前から姿を消した彼だった。 画面下部には千秋の名前と年齢が公開される。 罪状は強盗未遂で、逃亡の際には追ってきた病院職員を突き飛ばして数名怪我をさせたらしい。 あなたのよく知る千秋が指名手配されているという信じ難い状況に SAN/C【0/1】

染谷千冬 : 1d100<=46 【SAN値チェック】 (1D100<=46) > 96 > 失敗 [ 染谷千冬 ] SAN : 46 → 45 染谷千冬 : 「……、? ……!!」 染谷千冬 : (千秋がいる! ……いや、本当の千秋なのか? 分からない、でも唯一の手がかりだ。この近くにいた、探さないと……!!) 染谷千冬 : (昨日の夜か。家に帰る可能性はあるだろうか? ……いや) 染谷千冬 : (……足があれば、どこでも行ける。バイクで移動しだしたら追えない。……そもそも、千秋には千秋の考えがある……? 千秋がこうして俺との連絡を絶っている時点で、俺が千秋に会ってもできることはあるのか?) 染谷千冬 : (……違う、千秋の本心じゃないかもしれない。何か一人で抱えてるかもしれない。……思考がめちゃくちゃだな) 染谷千冬 : (……無駄なのかもしれない。千秋は求めてないかもしれない。でもやっぱり、話さないと。千秋の苦しみを知りたい。千秋が足を止めそうになった時には、手を引きたい。言いたくないだとか、それならそれでいい。でも、そのためには知る必要がある。だから、待っているだけじゃだめだ) 染谷千冬 : (……) 染谷千冬 : 返事はないだろうと思いながら、千秋にもう一度メッセージを送ります。 『ニュース見た。連絡しろ』 すぐにポケットにしまいます。 染谷千冬 : (……この事件について調べたい。いったん家に帰って、俺が集められる分の情報を調べる。その後探しに行こう) 家に帰ります。

あなたは情報収集をしようと、すぐ自宅へと戻る。 「染谷千冬さん、ですか?」 あなたが玄関の前に立った途端、背後からそう呼ばれる。

染谷千冬 : 振り向きます。

そこにはやや強面な印象を受ける男性が数人立っている。 先ほど声を掛けてきた男が一歩近寄ってきて、その懐から取り出したのは警察手帳だった。

刑事 : 「少し染谷千秋さんについてお話を聞かせていただきいのですが……。よろしいでしょうか」 染谷千冬 : (……) 染谷千冬 : 「……俺が知っていることは何もありません。何の連絡もありません。失礼します」無視して家の下に停めているバイクに乗ろうとします。

話すことは何もないとでもいうようなあなたの態度に、男は肩をすくめる。

刑事 : 「まあ、任意同行ではあるので、問題はありませんが……」

男はそう言って少し周囲を見回した後、更に小声で続ける。

刑事 : 「あなたもご存知かもしれませんが、実は千秋さんはちょっと大きな事件の容疑を掛けられております。 放っておけば何をするか分からないというか…………可能であれば、彼と面識のあるあなたに話を伺いたい」 刑事 : 「……ここで話すことはできませんがね。 もしご協力頂けるのであれば、まだマスコミに流していない情報も共有します。いかがでしょう?」 染谷千冬 : (……!) 染谷千冬 : (……本当に警察か? 警察がマスコミに流してない情報を俺に言う理由がない、むしろリスクのほうが高いだろう。それに言い方が何か……引っかかる。でも、情報が必要だと思っていた。むしろ願った状況だ) 染谷千冬 : 「……わかりました」

「ありがとうございます」と、男は頭を下げた後、道端に駐めてあった車にあなたを促す。

刑事 : 「本来ならば署でお話を聞くところですが、まだ昨夜の事件の調査が終わっておりません。申し訳ないのですが、篠宮病院までご同行願います。そこで事情聴取をさせて下さい」 染谷千冬 : 頷いて車に乗りこみます。

あなたは男達と共に篠宮病院へと向かう。

着いた先は、ニュースでも見た大きくて清潔感のある病院だった。 白を基調とした待合室には多くの人が行き交い、患者の多さが伺える。 しかしつい昨日の事件の関係か、病院には不釣り合いな雰囲気の人間が数人スーツを着て様子を伺うように歩いていた。

同行していた警察官の男は、「捜査状況を確認して参りますので、少しお待ち頂けますか」とあなたに声を掛け、少し離れたところでスーツの集団と何やら話を始める。 「……つまりこれは、新種の伝染病、ということなのでしょうか」 あなたが警察官を待っていると、突如としてそんな声が反響した。 反射的にそちらに視線を移せば、待合室の壁に備え付けられていたテレビで、コメンテーターが見解を述べているところだった。 「その可能性が高いでしょう。この感染病は数年前から世界各地で広まっていて、大した症状もなく、ゆっくりと呼吸器官がその機能を停止すると言われています。しかもその致死率はほぼ100%だというのに、今のところ治療法もなにもない! 政府はもっと危機感を持つべきなのです!」 「お、落ち着いて下さい、天野教授。まだ確証のない噂ですので……」 初老の男性が取り乱したように叫ぶのを、アナウンサーが困ったように宥めている。 アイデアをどうぞ。

染谷千冬 : CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 35 > 成功

そういえば最近、どの番組でも世界中で流行っているという伝染病について取り上げていたことを思い出す。 感染経路や原因はおろか、その症状すら詳細は不明だが、「一度この病気にかかってしまったら数年のうちに必ず死んでしまう」という噂が出回っている。 あなたを待たせている警察官は、スーツ集団と足早にどこかへ行った。今ならば、自由に見てまわることができそうだ。

染谷千冬 : (……時間がかかりそうだな。ここが現場、千秋が訪れていた場所……何かないか、見ておこう)

周囲を軽く見回すが、院内は昨夜の事件の面影が全く感じられないほど静かだ。

染谷千冬 : (……やけに静かだな)目星!

どうぞ!

染谷千冬 : CCB<=78 【目星】 (1D100<=78) > 59 > 成功

ナースステーションの奥に見える扉が外れており、黄色い「KEEP OUT」のテープで入り口が塞がれている。 扉の横には「資料室」とある。ここから見る限り、中には大量の書物や書類があり、それらが荒らされて散乱しているのが分かる。 聞き耳どうぞ!

染谷千冬 : CCB<=32 【聞き耳】 (1D100<=32) > 41 > 失敗

なにやら、ナース同士がこそこそと会話しているようだ。 「ねえ、ちょっと聞いた? ………事件」 「聞いた聞いた!怖いよねえ、研究資料を…………………………んでしょ?」 「しかもアレらしいよ。最近………、…………病……………極秘……だとか」 「え〜、あんなのただの都市伝説だってば」 そんなことを言いながら彼女たちは遠くへ歩いて行ってしまう。

染谷千冬 : (……) 染谷千冬 : テープで塞がれた資料室に入ろうとします。

そうしてあなたが腰をあげたところ、誰かが声をかけてくる。

少年 : 「ねえねえ、お兄さんってもしかして……ちふゆさん?」 染谷千冬 : 「……誰だ?」声のほうへ振り向きます。

あなたが振り向けば、そこには一人の少年が立っていた。 年齢は10歳頃だろうか、病衣を着た痩せ型の少年は、あなたと目が合うと嬉しそうに微笑んだ。 彼はそのまま周囲を見回すと、あなたを真っ直ぐに見上げ、口を開く。

少年 : 「ここで何してるの?お兄さんも病気?……なーんてね」 染谷千冬 : 「なぜ俺の名前を知っている」 少年 : 「ん〜? さあ、なんででしょう。 ちふゆっていう名前はよく聞いてたから、お兄さんのこと見てもしかしたら、ちふゆさんなのかな〜って何となく」 染谷千冬 : 「……千秋を知っているのか!?」 ナース : 「すばる君!」

あなたが少年に詰め寄ると、突然遠くから声が聞こえた。 そちらに注意を向けると、ナース姿の女性が数人焦ったようにこちらへ駆けてくる。

少年 : 「あーあ、時間切れ。ほんとつまんないの」

口を尖らせてそんな呟きを漏らした少年は、悪戯を思いついたような笑顔を浮かべると、小さな体で背伸びをし、小声であなたに囁く。

少年 : 「……あとで僕の病室きて。A棟の405号室。そこで色々お話してあげる」

すばると呼ばれた少年は目を細め、迫ってくるナース達に一瞥をくれた後、またあなたに視線を戻した。

少年 : 「……ちあきさんのこと、知りたいでしょ?」 染谷千冬 : 「! ……わかった」

患者の名を呼ぶアナウンス、人々の話し声、足音――雑踏。 そんな中で、あなたの鼓膜を確かに揺らしたその聞き覚えのある名前。

ナース : 「ちょっとすばる君、また病室抜け出して!今日は検査があるって言ったでしょう!」

ナースがすばるを叱るように叫び、彼の手を掴む。 それに対してすばるは、大して抵抗もせずに退屈そうな顔のまま、ほぼ引っ張られるようにして待合室から離れていく。 彼は顔だけであなたの方を振り返り、笑みを浮かべ、そのまま姿を消した。

あなたは再び独り残される。 まだ刑事たちは捜査をしているらしく、あなたの方に注意を向けている者はいない。 染谷千冬 : テープをくぐって資料室に入ろうとします。

幸運を振ってください。

染谷千冬 : CCB<=55 【幸運】 (1D100<=55) > 82 > 失敗

資料室に近寄ったあなたを看護師がじろりと見てくる。 ここに入ろうとすればすぐにでも止められてしまうだろう。

染谷千冬 : (……見られているか。やめておこう) 染谷千冬 : (……さっきの子どもは部屋に戻っただろうか。病院を見て回りながら、向かうか……)

病院の案内板を見ると、ここはA棟であり、エレベーターを利用すればすばるの病室にすぐにでも向かうことができるとわかるだろう。 あなたは病院の様子を見ながらすばるの病室へと向かう。 やはり院内は昨夜の事件の面影が全く感じられないほど静かだった。 扉の前には「尾ノ崎すばる」と書かれたプレートがある。 数回ノックをすれば、「どうぞー」と中から声がした。先ほど聞いたばかりの少年の声だ。

扉を開けて中に入れば、そこにはベッドに横になったすばるの姿があった。 あなたの姿を見ると嬉しそうに笑顔になり、「来てくれた」と声を漏らす。 外の明るい光が窓から差し込み、室内を照らしてはいるものの、不自然なほどに白い壁と医療器具、ほのかに漂うアルコールの匂いが、どこか無機質で空虚な雰囲気を醸し出していた。

染谷千冬 : (この子は一体、どうしてここに……いや) 染谷千冬 : 「千秋について知っていることを教えてくれ」

あなたが千秋について尋ねようとすると、すばるは上体を起こし目を細めた。 彼の顔からは、先ほどまで浮かべられていた軽薄そうな笑顔は消え、やや真剣な面持ちであなたを真っ直ぐに見つめている。

すばる : 「色々話す前に一つ聞きたいんだけどさ」 すばる : 「もしも、この世界とちふゆさんの大切な人の命、天秤にかけられたとして……ちふゆさんはどっちを選ぶ?」 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「……きっと世界、だ。俺の大切な人のために、俺と関係ない他のものを犠牲にはできない」 すばる : 「……そっか、なるほどね」 すばる : 「まあ、この答えに正解はないと思うから、その時思ったように行動するのがいいのかもね。 変なこと聞いてゴメンゴメン!」

あなたの答えを聞いたすばるは、どこか満足そうに頷いて口を開く。

すばる : 「それじゃあ早速本題に……って言いたいところなんだけど……」

そこで言葉を止め、ちらりと扉の方――その向こう側を見つめるように視線を移した。 聞き耳をどうぞ!

染谷千冬 : CCB<=32 【聞き耳】 (1D100<=32) > 48 > 失敗 染谷千冬 : 「……? なんだ」 すばる : 「あーあ。邪魔が入っちゃいそうだなあ」 すばる : 「ごめんね。質問には答えられないや。……でも、一つだけ僕から大事な忠告」 すばる : 「これからちふゆさんに出される食べ物・飲み物には気をつけた方がいいよ。勧められても口に入れちゃダメ。……ちあきさんの行動を無駄にしたくなかったら、ね」

あなたがその言葉を聞いた瞬間、慌ただしいノックの音と共に、スーツ姿の男が数人病室へと入ってきた。 よく見ると、あなたをここの病院に連れてきた刑事達である。

刑事 : 「千冬さん!よかった、こちらでしたか。お待たせして申し訳ありません。事情聴取の準備が整いましたので、どうぞ応接室へ」

男はそう言うと、あなたを病室の外へと促した。 すばるに視線を向けるのであれば、先ほどまでの大人びた表情はどこへやら、無邪気な笑顔で手を振ってきている。

少年 : 「お兄さん、ばいばーい!」 染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 無言で手を振り、刑事に案内されるがままついていきます。

あなたは男達に連れられ、エレベーターへと乗り込んだ。 最上階の15階のボタンを押した男は、続けてあなたに話しかける。

刑事 : 「ここの病院と提携している研究機関の代表が、あなたとお話ししたいそうです。なんでも千秋さんが盗もうとしていたのが、そこの研究資料だったとのことで、彼のことを詳しく聞きたいんだとか」

そんな言葉を聞きつつ、やがて『応接室』と書かれた扉の前に到達する。男がその扉を開けると、そこには一人の男が座っていた。 整えられた黒髪と白衣、眼鏡をした真面目そうな男だ。 彼はあなたを見るなり、立ち上がってお辞儀をする。

内山 : 「はじめまして。研究機関“Aspida(アスピダ)”の代表をしております、内山京次郎と申します。どうぞ座ってください」

彼はあなたを正面の椅子に促す。

染谷千冬 : 軽く礼をし、「失礼します」と言って腰かけます。 (……千秋のことを詳しく聞きたい? 盗もうとした人物の身内を呼んで、そんな話をしようとするだろうか。何か、信用できない) 染谷千冬 : (……それに俺は、千秋を信じている) 内山 : 「突然お呼びだてして申し訳ございません。今回の事件のことがどうにも気になりまして……。というのも、うちの研究内容は本来極秘のはずですので、その情報を盗み出そうとした千秋さんの足取りが知りたいんです」

内山のその言葉に、刑事の男も頷いて補足する。

刑事 : 「結果的に盗まれる前に阻止できたようですが、複製したものを持ち出した可能性も捨てきれません。……彼が身寄りにしそうな人や場所など、心当たりはありませんか?」 染谷千冬 : 「ありません」 内山 : 「そうですか。ならば仕方ないですね……。こちらでも追跡しているのですが、居場所の目星はついていません。完全に消息が途絶えてしまっている状態です」

あなたの答えに内山は肩をすくめ、そう続ける。

染谷千冬 : 「研究機関が追跡? ……俺は知りません」 警察の仕事だろうと違和感を覚えます。 染谷千冬 : 「…何を研究しているんですか」 内山 : 「……そうですか。我々は、主に医療関係の研究を行っています。国の枠組みに囚われることなくワクチンの開発、病原菌のメカニズムの解析などを主に行っています」 染谷千冬 : (……最近、新種の伝染病が流行っているが。ワクチン、病原菌か……) 染谷千冬 : 「盗まれそうになった資料は、どういったものですか」 内山 : 「研究資料です」

内山はそう答えると、刑事と一瞬顔を見合わせ、少し言いにくそうな表情になった。が、やがて躊躇いつつ口を開く。

内山 : 「ショックを受けられるかもしれませんが……千秋さんにかかっているのは強盗未遂の容疑だけではありません。彼には……テロを企てた疑いがあります。それもかなり大規模で」 内山 : 「……その範囲は日本だけでなく、世界中に及びます。彼には、自制心がありません。 まるで世界がどうなっても構わないと言わんばかりだ。資料を盗もうとしたのも、彼の計画のためでしょう」

自身の親しい人物が、とんでもなく大規模な事件の疑いを掛けられていることに SANC【0/1】

染谷千冬 : 1d100<=45 【SAN値チェック】 (1D100<=45) > 8 > 成功 染谷千冬 : (……もし千秋が本当にそういう事件に関わったなら、きっと何か裏がある。やっぱり信用できない) 染谷千冬 : 「テロ、とは?」 内山 : 「申し訳ありませんが、機密情報ですので教えられません」 染谷千冬 : 「そうですか」 内山 : 「あ……、そういえば何もお出しせず、すみません」

不意に内山はそう言って立ち上がり、席を外す。 そして少ししてから帰ってきた彼は、湯呑みをあなたの前へ置いた。 中には煎茶が入っており、湯気がたっている。

内山 : 「どうぞ」 染谷千冬 : 「ありがとうございます」飲みません。 (さっきの子どもが言っていた。それに、……なんとなく) 染谷千冬 : 「話は以上ですか」 内山 : 「ええ。……冷たい方がよかったでしょうか?客人をもてなさずに返すというのも、忍びない。 別のものを持ってこさせますよ」 染谷千冬 : 「要りません。他に用がないなら帰ります」 染谷千冬 : (ゆっくりしている暇はない。俺が話を聞きたいのは刑事だ) 内山 : 「……はぁ」 内山はやや困惑した様子をみせる。

その横で、刑事がちらりと、しかし鋭い眼光であなたのことを見る。 なんだか嫌な予感があなたの背筋を走ったその時、耳を劈くような警告音が鳴り響いた。

『緊急事態発生、火事です』 『ただいま、病院内の複数箇所にて火災発生。火元は 1階、5階、6階、10階、そして15階』 『全員直ちに避難して下さい。繰り返します――』

アナウンスらしき声は機械的に同じ言葉を繰り返している。 「15階って」と呟いた刑事と内山が立ち上がって扉を開くと、ぶわりと白い煙が部屋へ入り込んできた。 廊下には煙が充満しており、パニックに陥ったスタッフ達の悲鳴や足音が聞こえる。 聞き耳どうぞ!

染谷千冬 : CCB<=32 【聞き耳】 (1D100<=32) > 89 > 失敗

そんな中、小さな手があなたの手を掴んで引いた。

すばる : 「お兄さん、こっちだよ!」

その声はすばるだった。 彼は案外強い力であなたを引っ張り、煙で視界が悪い中全力で駆ける。 あなたは混乱しながらも、それに従うように手足を突き動かすだろう。 刹那、目の前には突然青が広がった。 眼前に広がる空と、頬に感じる風の感覚。 鉄の柵に囲まれたここは、どうやら非常階段のようだ。 すばるは、あなたの手を引いたまま階段を下る。 そのまま彼は篠宮病院の裏出口へと辿り着くが、さらにそこから少し離れた路地裏まで走ったところでようやく足を止めた。

すばる : 「は、っ…………、さすがに、ここまで来たら、ちょっとは大丈夫、かな」

ぜえぜえと肩で息をしながら、すばるは地面へしゃがみ込む。

染谷千冬 : 「ありがとう。……体は大丈夫か」 すばる : 「はぁ、はぁ……、うん、大丈夫」 染谷千冬 : 「体が悪いんだろう」 すばる : 「あはは。ちふゆさん、優しいね。大丈夫だよ。どうせ、……」 すばる : 「……。身の上話をする気分じゃないや。 ねぇ、一つだけ教えてあげる。ちふゆさんは狙われてる。 ……ちあきさんとはね、この前病院でちょっと話しただけの仲なんだ。考えが合いそうだったから、頼みを聞いてあげた。お兄さんが病院に来たら逃がしてあげて欲しい、って言ってたよ」 染谷千冬 : 「……待て、何に狙われてるんだ。……千秋やすばるは何に巻き込まれてる」 すばる : 「さっきの人達からだよ。……もしくは、世界」

そう言ったすばるは、激しく咳き込んだ。口元を抑えた彼の手には、べっとりと血がついている。 しかし彼は、まるでそれがいつものことだと言わんばかりに落ち着いている。

すばる : 「僕は、これだよ。……千秋さんは分からない。詳しく話してない」 染谷千冬 : 「世界? これ?」 すばる : 「うん。世界」 染谷千冬 : 「……その病気が、何か関係あるのか」 すばる : 「新種の伝染病、聞いたこと無い?」 すばる : 「……ねぇ、ちふゆさん、さ」

突然、すばるが顔を上げた。 未だ呼吸が整いきらないらしく、呼吸音がやけに大きく響いて聞こえる。

すばる : 「大切な人に『死んでくれ』って言われたら、やっぱり辛い?」 染谷千冬 : 「……千秋はそんなことを言わない」 染谷千冬 : 「……そんなことを言うなら、何か理由がある。言うほうがつらい。だから、俺はつらくない」 すばる : 「そっか。ちふゆさんはみんなと違うね。お母さんも、お父さんも……、みんな死ぬのが怖いって言うんだ。……死、ってさ、そんなに怖いものなのかな。僕にはよく分かんない。 もう死ぬって分かってて、痛くて辛くて、それでも無意味に延命される。生きることって本当に無条件で素晴らしいことなのかな」 すばる : 「……ま、それだけは、覚えておいて」

すばるは真っ赤に染めた口を吊り上げてあなたを見上げた。

すばる : 「早く行って。とにかく、ここを離れて。 ……真実を知りたいなら、今あいつらに捕まるべきじゃない。ちふゆさんは僕と違って選択肢があるんだから。 路地裏から少し歩けばすぐ大通りに繋がる、じゃあね」

すばるは、あなたを見送るようにひらひらと手を振った。

染谷千冬 : 「……、」聞きたいことは山ほどありますが、すばるの言うことが本当で、とにかくここに長居して捕まるべきではないことが分かります。そして、すばるをここに放っておくことも気がかりのため、すばるを連れて逃げようとします。 すばる : 「わ、何、どうしたの?」 染谷千冬 : 「乗れ」かがんで背中を差し出します。 すばる : 「突然どうしたの?……僕はいかないよ。行ったところで、って感じもあるし」 染谷千冬 : 「まだ聞きたいことがある。それに、病院にいても仕方ないんじゃないか」 染谷千冬 : 「だから、すばるも逃げよう」 すばる : 「これ以上教えられることはなにもないよ。……もういいんだ。ちふゆさんは逃げないと。きっと足を引っ張る」 すばる : 「……それにね。僕は別に死んでも怖くないよ。強いて言うなら……、……。あはは」 すばる : 「ねぇ、ちふゆさん。ちふゆさんは自分の幸せを考えたほうがいいよ。きっとちあきさんもそう思ってると思う」 すばる : 「ちふゆさん。僕を助けてくれようとしてくれてありがとう。気をつけてね」そういって病院の方にゆっくりと歩いていきます。 染谷千冬 : 戻ろうとするすばるを後ろから引っ張り、脇に抱えて連れ去ろうとします。

すばるは強情なあなたを面白がり、抵抗しません。 SIZ9とSTR14で対抗してください。

染谷千冬 : CCB<=70 (1D100<=70) > 20 > 成功 すばる : 「あーあ。パパとママに怒られちゃうなあ」そういってけらけら笑います。 すばる : 「ちふゆさん、結構ヘンだね。ちあきさんが心配する理由が分かるよ」千冬の身体におぶさります。 染谷千冬 : (背中に乗ってくれて良かった。抱えて走ると、さすがに目立つ)すばるを背負って走り出しながら、話します。 染谷千冬 : 「俺は、すばるを助けようと思ったわけじゃない。聞きたいことがあるからだ。だから安全で邪魔されないところまで行く。その後は好きにしろ」 染谷千冬 : 「……俺はどんな時でも生きるべきだと思っていた。でも千秋に、それは違うのかもしれないと気づかされた。すばるが、病院でただ生き延びることを望んでいないなら、他にやりたいことがあるなら、それをやればいい。生きるか死ぬか、自分で決めればいい。ちょうど俺はすばるに用がある。だから連れて行く」 染谷千冬 : 「……捕まりそうになったら置いていく。その時は知らない。……できれば、自分で逃げたと言ってほしい」 すばる : 「あはは。何でもいいよ。病院に籠もりっきりよりは全然面白そうだしね。けど、いいの?」 すばる : 「僕に答えられることはもうないと思うんだけどな。何が聞きたいの?」 染谷千冬 : 「伝染病について、知っていること。かかった経緯、症状、治療法、人の噂。あの病院、機関について。食べ物や飲み物を摂らないほうがいいと言ったこと。千秋との会話、千秋の行動」 すばる : 「伝染病は、数年前から世界で広がってる奇病。致死率は100%で、かかった人はもれなく全員死んでる。かかった経緯は、わからない。突然だった。 治療法は、……さあ? 見つかったら僕も治ってるはずじゃない?」 すばる : 「あの病院は、ごく普通の病院だよ。でも、『Aspida』って研究機関でもある。 伝染病について研究してるって聞いたけど、わかんない。けど、千冬さんを攫う計画をた企ててた。 飲み物に薬混ぜて攫うんだって。だから忠告してあげただけ」 すばる : 「それ、ちあきさん本人から聞かなくていいの?まあいいけどね。 ちあきさんは病院に忍び込んできたんだ。僕はたまたま起きてて、面白そうなことしてるから黙ってみてた。そしたら気付かれちゃってさ。仕方ないから今ちふゆさんに話したのと似たような内容を話して、つまらないし世界なんか滅んじゃえって言っただけ。 話してて気が合いそうだったから、もしちふゆさんが来た時は逃してくれってお願いを聞いた。これで全部」 染谷千冬 : 「そうか。……」黙り込んで、大通りを走りながら長考します。 染谷千冬 : (……今の情報から考えるなら、あの病院は伝染病の患者を入院させている、機関は病原菌やワクチンの研究をしているなら、伝染病の対策をしている? その資料を奪おうとしたなら、千秋は研究を阻止して伝染病を流行らせようとしている? ……千秋がそれをする理由が分からない。それに、機関が俺を捕らえようとしているのも。……千秋は、俺のために? いや……。……まだ何も、わからないな)

あなたは逃れるようにその場を離れ、大通りまでやって来る。 病院に向かうのだろうか、消防車のサイレンが段々と遠ざかっていくのが聞こえた。 「今のところ治療法もなにもない! 政府はもっと危機感を持つべきなのです!」 「お、落ち着いて下さい、天野教授。まだ確証のない噂ですので……」 これからどうするべきなのか、あなたが途方に暮れていたところで突然、声が響く。 街頭テレビには、先程も病院内で見た伝染病についてのインタビューが映し出されている。 初老の男性は、どこか焦ったように画面越しに伝染病の危険性を訴えてきていた。 アイデアをどうぞ!

染谷千冬 : CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 19 > 成功

現在、この伝染病を研究している学者は天野教授しかいない。Aspida係者以外で話を聞くならば彼しかいないのではないか、と思いつく。

染谷千冬 : (……伝染病について、きっと千秋は何かを知っている。それを追えば、千秋の行方がわかるかもしれない。……この男に会いに行こう) 染谷千冬 : どこの大学の教授か、どのような人物か、検索して調べます。

天野教授の研究室がある鳴沼大学はここから車で30分ほどだ。 タクシーを拾うか、電車とバスを乗り継げば向かえるだろう。

染谷千冬 : (……この病衣、目立つな) タクシーを捕まえます。 染谷千冬 : 「目的地は鳴沼大学、だが途中で街の服屋に寄ってくれ」

タクシーはあなたの指示通り服屋に到着するだろう。

染谷千冬 : すばるにサイズの合いそうな服を買って出てきます。 「大学に頼む」 そして、すばるに耳打ちします。 「これに着替えろ」 すばる : 「わかった」

すばるはいそいそと着替え始める。大学に着く頃には、すばるの服装が病衣から普段着へとなっていた。これなら共に歩いていても悪目立ちすることはないだろう。 そうしてあなたは彼と一緒に鳴沼大学のキャンパスへとやってきた。

染谷千冬 : 大学の受付のようなところに行き、教授の研究室がどこか、教授は今そこにいるか聞きます。

今日は講義がないとのことで、受付嬢が研究室の前まで案内してくれます。

染谷千冬 : 受付嬢に礼を言い、扉をノックします。

研究室へとつながる扉をノックすれば、向こう側から「どうぞ」と声が掛けられた。

染谷千冬 : 扉を開け、すばるを連れて入ります。

ゆっくり中に入ると、そこには本棚が並ぶ研究室だった。机の前にはテレビで見かけた初老の男性が座っている。 「今日講義はないはずですが、一体……おや、これは失礼。てっきり生徒かと思ってしまいまして」

男性はそう言って軽く頭を下げ、立ち上がる。首から下げているネームタグには、『天野影草』と書かれている。 「何のご用でしょう?」 目星とアイデアをどうぞ!

染谷千冬 : CCB<=78 【目星】 (1D100<=78) > 94 > 失敗 染谷千冬 : CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 66 > 成功

伝染病の研究をしているということは医学系の教授である場合が多いのだが、彼のネームタグの上部には『文化人類学教授』との表記がある。

染谷千冬 : 「ニュースで話していた伝染病について、詳しく聞かせてください」 天野 : 「……。正式に認められた訳ではないので名称もありませんが、私はその伝染病が実在していると信じています。ここ数年、世界各国で原因不明の奇病が多発しています。そして、そのような奇病が流行するという内容の予言書もいくつか発見されている」 天野 : 「政府も当然、この事実には気付いているはずです。しかし隠蔽しているんです。治療法もないに等しく、おまけにただの伝染病ではないということを国民に知られればパニックになるから、意図的に証拠や手掛かりを消しているに違いない! これは陰謀です!」 天野は一息で言い終え、やや興奮気味に叫んでいる。 染谷千冬 : 「落ち着いて喋ったほうが」 天野 : 「おっと、失礼。だが……しかし……」

天野は興奮を抑えきれない様子で、しかし先程よりはやや控えめに肩を上下させている。

染谷千冬 : (……これだけ聞くと、信憑性が薄すぎる。でも、今までに散々怪異に巻き込まれて……そういった信じられない何かが裏で起こっていてもおかしくない、とも思える) 染谷千冬 : 「教授が伝染病の存在を確信するに至った理由は何ですか。どういった予言書がありますか。教授はこの伝染病の対策をどう考えていますか」 天野 : 「きっと話しても信じてはもらえないでしょうが、とある微生物を見たからです。それらは病原菌に寄生し、遺伝子を組み換え、変化する。……その微生物は人工では決して生み出せません。例えるならば、そうですね……神のような存在です」 天野 : 「予言書には様々なものがあります。世界各地で同じような内容が書かれている。文化が違う国で描写が一致しているのです」 天野 : 「治療法はない、という答えが一般的かと。感染すれば、少しずつ臓器が働かなくなっていき、やがて完全にその機能を停止します。 ただ、一つだけ方法があるとするなら、抗体を持つ人間の血を使って開発されたワクチン、ですかね。それを打てば微生物を無力化し、病原菌を完治させることが出来ます」 天野 : 「……抗体を持つ人間はごく僅か、ということは分かっています。本当に存在するのかも怪しいところですが、抗体を持つ人間がいなければ、この世界はもう……」 染谷千冬 : 「……専門でない教授がその答えに至るなら、政府や研究機関もその対策を考えているんじゃ」 天野 : 「まともに取り合っちゃくれませんよ。……でも、もしも彼らが、伝染病のワクチン開発に必要となる“抗体”を持つ人間を見つけたとしたら……何が何でも身柄を拘束しようとするでしょうね。なんせ世界中の人々の命が懸かっていますから」

そこで、天野がふと携帯に視線を落とした。 彼は「ちょっとすみません」と会釈をし、携帯を耳にあてながら部屋を出て行く。 声は聞こえないほどに段々遠ざかり、しばらくは戻ってこないのかもしれないとあなたは思うことだろう。

染谷千冬 : (……俺が抗体だとしたら、俺を捕らえようとする理由がつく。俺は逃げていていいのか? でも、千秋が抵抗している理由が分からない。……) 染谷千冬 : この部屋について調べます。まずはパソコンや机の資料など。調べながらすばるに話しかけます。 「今、研究機関がワクチンを開発しているところなんじゃないか」 すばる : 「……そうみたいだね」 [メイン] KP: 天野の机には、様々な書類の他、古びた地球儀や地図、不気味な置物などが無造作に置かれている。 目星をどうぞ! 染谷千冬 : CCB<=78 【目星】 (1D100<=78) > 17 > 成功 [メイン] KP: 使い込まれた手帳を発見する。 染谷千冬 : 「だから、諦めるのはまだ早いんじゃないか」 すばる : 「……」 染谷千冬 : 「……今、考えていて、でも言ってないことがあるだろう」 手帳を開きます。 すばる : 「まあね。どうでもいいやって捨てたものを押しつけられた感じだなって思ってさ。あ、ちふゆさんの言葉じゃないよ。死ぬんだって思ってからもう長いから……、実感沸かないや」

【手帳】 一連の感染症には、ハスターリクという神話生物が関係していると思われる。 それは旧支配者と呼ばれるものであり、微生物の集合体である。病原菌と合体し、疫病を広める。 なお、完全なる制御は難しく、時には召喚者にも感染してしまう場合がある。 なお、一度召喚されて病原菌に寄生してしまうと、治す方法はないとされている。 現実には有り得ない、ひどく冒涜的な内容を読んだあなたは SAN/C【1/1d3】

染谷千冬 : 1d100<=45 【SAN値チェック】 (1D100<=45) > 71 > 失敗 染谷千冬 : 1d3 (1D3) > 2 [ 染谷千冬 ] SAN : 45 → 43 染谷千冬 : (この記述が本当だとすれば……世界中の人間は……) 染谷千冬 : 「……今まで頑張ったんだな」隣に立つすばるの頭を撫でます。 染谷千冬 : 本棚の資料などを見たいです。 すばる : 「ふふ。でしょ?」

オカルト的な内容が多く、古い本ばかりだ。 あなたが感染症に関する本を探していると、一冊の一際古めかしい本を発見する。 ところどころが虫食っており、読めなくなっている。

○『■■■■■■の治療』 一般的に治療する方法はないとされているが、正しい手順で薬を作ることが出来れば、■■■■■■は完治する。それは、ただの病気ではない。よって、正しくは治療ではなく“退散”と言うべきだろう。 薬品に抗体を持つ者の血液を注入し、儀式を行うことではじめてその治療薬は完成する。 それを体内に摂取すれば、感染した者の体内から■■■■■■が退散し、感染症は完治する。 あなたがそうして研究室の中をくまなく見ていると、「申し訳ありません。仕事の電話で」 天野がそう言って部屋へと戻ってきた。

天野 : 「それで、……ああそうそう、例の伝染病の話でしたよね。先ほど、ふと思い出したのですが」

そう言いつつ、彼はコーヒーメーカーで三杯分のコーヒーを用意している。

天野 : 「昨日、Aspidaの息がかかった病院で研究資料が盗まれそうになった事件があったでしょう。それも実は、伝染病を治すワクチンに関するものだったりするんじゃないかと思いましてね。理由は分かりませんが――何者かが、ワクチンの開発を阻止しようとしているんじゃないかって」 天野 : 「……あなたは、どうお考えです?」 染谷千冬 : (……この教授、俺が関係者だと知っているのか? ……) 染谷千冬 : 「……俺もそう思いました。だからこそ、阻止しようとする理由が気になります」 天野 : 「そうですね。……私にも理解らない」 「……まあ、何にせよ、ただのしがない研究者である私が言えることは、これくらいでしょうか。……どうぞ」

そう言いながら、天野はコーヒーをあなたの前に置いて勧めた。

染谷千冬 : 「……」 染谷千冬 : 「お気遣いありがとうございます。でも、用があるので。失礼します」すばるの手を引いて部屋を出ようとします。

あなたは差し出されたそれを断り、すばるの手をとった。 すると天野は、その顔から人の良さそうな笑みを消し、ゆっくりと立ち上がる。

天野 : 「……頼みますよ。それを飲んでくれなきゃ、困るんです。何人もの、何億人もの人間が、犠牲になることになるんですから」 染谷千冬 : 「……だめだ。協力するのは良い。でも、何かおかしい。千秋に会いたい。千秋と話してからじゃないとだめなんだ……!」後ずさります。

彼はあなたの言葉を聞かないふりをして、ゆらゆらとこちらへ近付いてこようとする。

その時だった。 ――ガシャン! 何かが割れる音が響く。周囲を見回せば、窓ガラスが粉々になっており、足元には一際大きな破片が転がっていた。

天野 : 「ぐ、っ」

呻き声にはっと顔を上げると、破片が刺さったのか、肩を抑えて顔を顰めている天野の姿があった。

天野 : 「な、何だっていうんだよ!?私は何も悪くない! ただ、ただこの世界を救いたかっただけだ!」

天野は怯えたように叫び、部屋の奥へと引っ込んでしまう。 あなたが呆然とそれを見つめていると、突然背後から何者かに腕を掴まれ、引っ張られる。

染谷千冬 : 「!?」 染谷千秋 : 「逃げるぞ、千冬」 染谷千冬 : 「千秋……!!」

それは――千秋だった。 ひどく疲れた顔をして、どこかやつれたような雰囲気ではあったが、それでもその人は紛れもなく、あなたがずっと探していた千秋そのものであった。 あなたは、久方ぶりに見る彼に手を引かれ、半ば引きずられるように走り出すことだろう。 すばるは千秋と目を合わすと、一つ頷いて千冬の手を離す。

染谷千冬 : 「! すばる」

すばるの存在に気を取られるあなたを、千秋は手を引っ張って静止する。 すばるはそんなあなた達を見て楽しそうに笑った。

すばる : 「僕はどこかに隠れておくから、大丈夫。楽しかったよ。……ありがとう、ちふゆ」

そうして笑うすばるを置いて、貴方達は走っていく。 千秋は険しい顔をして、何も言わないままあなたの手を引いていく。 その形相のあまりの必死さに、余裕のなさに、あなたは思わず口をつぐんでしまうだろう。 ただ彼に連れられて走ることだけに集中し──、やがてやって来たのは、既に廃墟となったビルの屋上であった。 今にも雨が降りそうな曇天を見上げ、千秋は上がった息を整えている。 千秋はしばらく息を整えていたが、やがてあなたの方を振り返り、「……久しぶり」と、複雑そうな表情で言った。

染谷千秋 : 「ごめん。心配かけたよな」 染谷千冬 : 「……本当だ。この三ヶ月、何があったんだ」 染谷千秋 : 「話せば長くなる。色々あったんだ。連絡しようとしたけど、気付かれる可能性があったからできなかった。……けど、まあ、それは向こうについたら話すよ。詳しく話す時間はなさそうだしな」 染谷千冬 : 「……向こう?」 染谷千秋 : 「ああ」 染谷千秋 : 「……な、千冬。二人だけの世界にいかねえ?」 染谷千冬 : 「……どういうことだ」 染谷千秋 : 「ひーみつ。……なーんてな。冗談だよ」 染谷千秋 : 「……千冬、今狙われてるだろ。……だからさ、全部ほっぽってさ、とんずらしちゃおうぜ。逃げ道は用意してあるんだ」 染谷千冬 : 「……それはできない、かもしれない。……千秋、俺が狙われている理由と、千秋が資料を奪おうとした理由……教えてくれ」 染谷千秋 : 「……」 染谷千秋 : 「伝染病――、……いや、正しくはハスターリクと呼ぶべきか。あれのワクチンには、抗体を持った人間の血液が必要になる。……代替できるものはない」 染谷千秋 : 「薄々理解ってるだろ?千冬がその抗体を持ってるんだってこと。千冬は、抗体を持つ世界でたった1人の人間なんだ」 染谷千秋 : 「……なあ千冬。抗体を持つ人間がどんな目に遭うと思う?」 染谷千秋 : 「生き地獄だぜ。人権なんてない。 何も無い部屋に閉じ込められて、自殺出来ないように拘束されて、……誰とも会話することなく、死ぬことすら決して許されない。 ワクチンをつくる血液のためにほぼ永久的に延命される。……人類が続く限り」 染谷千秋 : 「俺は千冬に……、永久的に続く苦しみを味わって欲しくない」 染谷千秋 : 「なあ、千冬。俺はさ、世界なんてどうでもいいんだ。世界中の人間が死ぬとかそんなことより、……俺は、千冬と生きたい」 染谷千秋 : 「……だから、な。行こうぜ。……頼むよ」 染谷千冬 : 「……なら、行けない。俺ひとりの血で、何億人もの人が助かる可能性があるなら、そっちを優先するべきだ」 染谷千冬 : 「何も、死ぬわけじゃない。苦しみだけとは限らない。生きていたらもしかしたら、会えるかもしれない。そんな希望もある中で、皆を見殺しにはできない」 染谷千冬 : (本当に人権が無い捕らえられ方をしたとして、十分にワクチンが広まったらいつか出られるかもしれない。そのうち待遇が良くなるかもしれない。抗体が他に見つかるかもしれない。ワクチンが血液以外から作れるようになるかもしれない。面会ができるようになるかもしれない。それを諦めて、俺は死にたくない) 染谷千秋 : 「はは。……、……だよな。千冬はそう言うと思ってたぜ」 染谷千秋 : 「……なら、少しでいい。せめて、俺が死ぬまで側にいてくんない?……残りの時間を、千冬と過ごしたいだけなんだ」 染谷千冬 : 「待て。……千秋も感染しているのか?」 染谷千秋 : 「ああ。もってあと数年ってとこ。笑えるよな」

そう言った千秋はどこか遠くを見つめるような寂しげな瞳で、あなたのことを見る。 今まで伝染病のことを調べてきたからこそ、あなたはその千秋の言葉にショックを受けるだろう。 SAN/C【1/1d3+1】

染谷千冬 : 1d100<=43 【SAN値チェック】 (1D100<=43) > 69 > 失敗 染谷千冬 : 1d3;1 染谷千冬 : 1d3+1 (1D3+1) > 2[2]+1 > 3 [ 染谷千冬 ] SAN : 43 → 40 染谷千冬 : 「……なおさら嫌だ。死ぬのをただ待つなんてできない。今すぐにでも俺の血を研究してもらう」 染谷千秋 : 「……ワクチンの開発にも時間がかかる。俺が死ぬ前に完成するかわからない。 ……それに俺はもう犯罪者だ。ワクチンが完成したとしても、優先度は低いだろうな」 染谷千秋 : 「『かもしれない』を期待して、千冬の居ない世界で死ぬより、……千冬と残りの人生を生きたいんだ」 染谷千冬 : 「……俺は希望を捨てたくない。千秋も、……それにすばるも。皆本当は生きたい、望んで死にたくなんかない。なら、僅かな可能性にでも賭けたい」 染谷千秋 : 「…………」

お互いの主張を曲げないまま、あなたたちの会話はいつまで経っても平行線だった。

「そこまでだ!彼から離れろ!」 突然、怒鳴り声が響いた。 ビルの屋上にはいつの間にか何人もの銃を持った 人々が立っており、こちらを取り囲んでいた。

染谷千秋 : sCCB<=(16-12)*5 【POW × 5】 門の創造で使ったpow12をPOWから引き5でかけた数 成功したら大人しく渡します。失敗したら渡しません。 (1D100<=20) > 52 > 失敗

それと同時に体を引き寄せられ、あなたのこめかみには硬く冷たいものが押し付けられた。

染谷千秋 : 「……それ以上近付いたら、撃つ」

すぐ横で千秋が唸る。 そこであなたは、押し付けられているものが拳銃だということに気が付くだろう。

染谷千冬 : 「……」

「お願いです!」

そう叫んで一歩前に出てきたのは、内山だ。彼は必死の形相で、さらに言葉を続ける。 「世界のためなんです。千冬さんさえ我慢してもらえれば、世界中の人々が助かる。 何も命を差し出してくれってわけじゃない、……生きて、その血を与えてくれれば、それで」

あなたを取り囲む彼らの表情は、皆、真剣だ。 当然だろう。彼らは何一つ間違っていないのだから。 一人の身柄を拘束すれば、全世界の人々が救える。天秤に乗せて比べるまでもない。

染谷千秋 : 「……お前らなんかのために、千冬を渡せって言うのか」

千秋は、喉の奥から振り絞るような声を漏らした。彼があなたの肩を掴む指に、力が入るのを感じる。

染谷千秋 : 「……なぁ千冬、ここで死んだら終わりだよな?」 染谷千秋 : 「さっき言ってた希望とやらも、……人類もさ」 染谷千冬 : 「……そうだな」 染谷千秋 : 「……もういい。話しても無駄だ」 染谷千秋 : 「千冬。……死んでくれ。俺と一緒に」千冬のこめかみに銃口を押しつけ、後退りながら千冬を連れて行こうとします。

そう言われ、あなたはようやく気付くだろう。 三ヶ月前に言われた言葉の、真の意味に。 あなたは、選択を迫られている。

染谷千冬 : 「……嫌だ」拳銃を奪おうとします。 (相手は俺を殺したくない。千秋が持っているより、俺が持って俺自身を人質にするほうが良い。それで千秋を逃がしたい……!)

DEX対抗をお願いします。DEX13とDEX9の対抗なので成功率30%です。

染谷千冬 : ccb<=30 (1D100<=30) > 63 > 失敗

千秋があなたの動きに気付き、拳銃を奪えませんでした。あなたはそのまま千秋に組み付くことでしょう。STR対抗をお願いします。STR14とSTR10の対抗なので成功率70%です。

染谷千冬 : ccb<=70 (1D100<=70) > 86 > 失敗

いつもならあなたが勝つはずですが、火事場の馬鹿力でもあるのか千秋から拳銃を奪うことはできませんでした。 千秋は幸運を振ってください。

染谷千秋 : CCB<=80 【幸運】 (1D100<=80) > 88 > 失敗

choice[頭, 心臓, 腹部] (choice[頭,心臓,腹部]) > 頭 千秋があなたから拳銃を取り戻す。 怒りに震える手で、あなたに銃口を向けようとした時、一発の銃声が鳴り響いた。

何が起こったかあなたが理解する前に、千秋がその場に崩れ落ちた。 コンクリートに鉄塊がぶつかったような重苦しい音を響かせながら、千秋の持っていた拳銃があなたの足元へ転がった。あなたの靴を、彼の脳髄から出た血が汚していった。

警官の放った銃が千秋の頭を貫通したのだ。 倒れる瞬間、千秋があなたに手を伸ばした気がした。

染谷千冬 : (……は) 染谷千冬 : (千秋が、殺された?) 染谷千冬 : (……な、んで?) 頭がじんと痺れ、血の気が引きます。身体中の熱が奪われているかのようです。しかしこの状況を上から眺めているような、どこか冷静な目線の自分もいます。その自分が、千秋の握っていた拳銃に手を伸ばすように唆します。この場で一番大事な命は、唯一の抗体を持つ自分だから。 染谷千冬 : そして拳銃を握ります。思考するより先に、自分のこめかみに銃口を当てがいます。 染谷千冬 : 「……」

「待って!」そう言って人々があなたを止めようと足を踏み出すでしょう。

染谷千冬 : (千秋が、殺された。この警官に。千秋は死ぬ必要なかった。でも、殺された。警官に殺された。俺の身柄を確保するため。俺の血から抗体を作るため。そのために、千秋が。……どうして?) 染谷千冬 : (俺の血で皆が助かるなら、それで千秋やすばるが助かるなら、良いと思っていた。でも千秋はもういない。ずっと俺のことを想って、俺のためを考えてくれていた千秋が。殺された。どうして? ……どうして、千秋を殺した、千秋以外の人間のためを考える必要がある?) 染谷千冬 : (……例え血を差し出すために何も無い部屋に閉じ込められたとして、でも千秋のことを想えば、俺は幸せだと思ってた。――でも、俺がそうやって血を差し出したところで、千秋は存在しない。俺の幸せは、千秋の幸せなんだ。千秋がいないと、意味が無い) 染谷千冬 : (……千秋は俺と一緒に死ぬことが望みだった。俺は嫌だと思った。千秋が生きられる可能性が少しでもあるなら、その可能性を信じたかった。……信じたかったのに、その可能性も潰されてしまった。千秋が殺された。……なら、千秋の望みを。千秋を殺した警官より、それを知らない人々より、そんな運命を課した世界より、俺は千秋の願いを聞きたい) 染谷千冬 : (……すばる、ごめん。諦めるのは早いって、言ったのに) 染谷千冬 : (……話しても無駄、か) 「最後までわからなかったな。……ごめん、千秋」 そう呟き、銃の引き金を引きます。

人々が静止する声を振り切って、あなたは静かに引き金を引いた。 大きな破裂音が鳴り響き、辺りは血で染まる。血液が急速に失われたことで、あなたの視界が暗くなっていく。暗闇に包まれ、目の前には何も見えない。唯一の音は、内側で響く自分の息遣いと、段々と遅くなっていく自らの鼓動だけだ。足に力が入らず、支えを失った身体が千秋の死体に被さるように倒れる。

人々は一瞬の静寂の後、狂ったように叫び、あなた元へと駆け寄った。あなたの血液を少しでも集めるために。 人々は必死の形相で崩れ落ちるあなたの身体を支え、そうしてどこかに運んでいく。 側に打ち捨てられた千秋の死体はゴミのように踏まれ、潰され、多くの人間の重みに耐えきれずに、元の形を失っていった。多くの人に引き摺られながらも、絶望に覆われたあなたの瞳は弟だけを映しているのだろう。 最期のその瞬間まで、貴方は世界に翻弄され続けた。 大切な人と交わした約束は潰えてしまった。巨大な理不尽の前では為す術もなく、心は深い絶望に支配され、希望の色を消してしまった。 あなたは彼の言葉を理解してやることができなかった。

それでも尚、その最期の願いを聞き遂げた。 この世界の人々の行く末を知りながら、弟の跡を追うあなたの姿は、傍から見れば狂気の沙汰だったのかもしれない。それこそが絶望の象徴となったのかもしれない。 そうしてあなたは死んだ後でさえも、ワクチンの研究のためにその身体を利用されてしまうのだろう。

だがそれも、今となってはどうでもいい。自分には関係のないことだ。弟のいない世界を救うことに意味などない。 もうこの世界にはない大切なものに想いを馳せながら、あなたは静かにその意識を手放した。 *** そこであなたは目を見開いた。 心臓はばくばくと高鳴り、荒ぶった自立神経があなたの呼吸を乱し体温を上げる。

先程までわんわんと響いていた人々の叫喚は聞こえない。 時計の針を刻む音があなたの気持ちを落ち着けていく。 視線の先に赤色は存在せず、そこには見慣れた自室の天井があった。 外は快晴。カーテンの隙間から差し込む朝日が部屋を優しく照らしている。

あなたは少しの間、夢と現実の境界線が分からなくなりつつも、次第に冷静さを取り戻すだろう。

そうして静かに息を整えようとすると、隣で眠っていたはずの千秋が身体を起こしてあなたを抱きしめた。

どうやら、今までの出来事は全て夢であったらしい。 貴方達は長い悪夢から覚め、いつもの日常に戻ってきたのだ。

だがしかし、どうだろう。 夢で起きたまやかしの出来事にしては、感じた恐怖や絶望は本物だった。 もしも、あれが夢ではなかったとして。 あなたは、最低な逃避行に誘う彼の手を掴むだろうか。 それとも自らの全てと彼の願いを代償に、世界を救うのだろうか。 ぼんやりと思考に耽りながらも、もはや結論は出ていることをあなたは悟るだろう。 きっと、その時も同じ決断を下すのだ。 彼も――そして、あなたも、あの夢と同じ選択を。

あなたを抱きしめる弟の低い体温を感じながら、あなたはそっと目を伏せた。 この世界で同じ選択を迫られるその時まで、あなた達が選んだ道のりは誰にも知られることはない。 そう。それは神ですら及ばない、逃避行の向こう側なのだから。 /** クトゥルフ神話TRPG 「最果てへの逃避行」 END 2-X:失われた永遠への道標 **/

以上、シナリオクリアです! SAN値を初期値まで戻してください。

[ 染谷千冬 ] SAN : 40 → 47

エピローグ

染谷千秋 : 「千冬、……大丈夫か」 連日悪夢を見ているため、今回も同じ類のものだろうと先程まで見ていた夢の内容(千冬が死ぬよりも苦しい状況になってしまうこと、千冬に拒絶されたこと)は記憶から押しやります。 千冬の顔を見ながら、その温もりで心を癒やそうと手を握ったところで、千冬が突然目を見開き呼吸が浅くしました。それを見て千冬もまた自分とは別の悪夢を見たのだろうと思い、その身を案じます。 染谷千冬 : 「……」ばくばくと、心臓が大きく脈打っています。やけにリアルな夢で、胸が締め付けられるような想いが未だに残っています。 染谷千冬 : 千秋が行方不明になる始まりから、千秋と共に死ぬ終わりまで、記憶を反芻して整理します。そして、心を落ち着かせます。 普段はほとんど夢を見ません。――千秋の言葉が思い出されます。 (……千秋に言われていたな。夢見が悪い時は言え、何かに巻き込まれてるかもしれないから、と。前、千秋が誘拐された時に) 染谷千冬 : 「……夢を見た。聞いてくれるか」 染谷千秋 : 「ああ。もちろん。……少し待っててな」 千冬の頭を撫でてから身体を起こし、キッチンに赴きます。 ハーブティーを二つ入れて戻ってきました。千冬に片方を渡します。 「ん」 染谷千冬 : 「ありがとう」一口飲んで、渇いた喉を潤します。 染谷千秋 : 「いーよ」千冬が飲むのを見てから自分も飲みます。そして千冬が話し出すのを待ちます。 染谷千冬 : 「……世界中に伝染病が蔓延する夢だった。それは本当は怪異によるもので、唯一の抗体を持つのが俺だった。研究機関が俺を捕らえようとするのを、千秋は逃がそうとしていた。……」一度言葉を切ります。千秋が殺される瞬間の光景が頭に浮かび、眉をしかめます。 染谷千秋 : 「……」自分が先程まで見ていた悪夢と内容が一致していて、千冬も同じ夢を見ていたことに驚きます。本当にあれはただの悪夢だったのだろうか?と疑問に感じます。もしかしたら、自分達は怪異に巻き込まれていたのではないかと思い、そうして先程記憶の隅に押しやったものを思い出しかけましたが、一旦千冬の話を聞くために思考を中断します。 染谷千冬 : 「……その後、千秋は殺された。死ぬまで結局、俺は千秋のことが分からないままだった。……俺は自殺した。ただの夢だが、やけにリアルで、細やかで……不思議な気分だ」 染谷千冬 : 「……とにかく、そんな夢だった。起きた時は驚いたが、別に何ともない。大丈夫だ」 染谷千冬 : (……いくらリアルでも、ただの夢。あれは俺が思う千秋だ。だからあの時千秋が何を考えていたか、気にする必要はない) 染谷千秋 : 「……自殺?何で……」自分も同じ夢を見たということと、それは怪異による出来事かもしれない、と千冬に伝えようとしますが、先に自殺という言葉が引っかかりました。千冬を救うことができず、その後千冬は捕らえられたと思っていたからです。 染谷千冬 : 「千秋が殺されたからだ」 染谷千秋 : 「……? 千冬、皆を見殺しにはできないって言ってたろ。何が……」 染谷千冬 : 「それは、……。……まさか、千秋も同じ夢を見たのか?」千秋に話していない部分を知っていることに驚きます。夢ではないのかもしれない、あれは本当に千秋だったのかもしれない。……現実に起こり得ることなのかもしれないと、背筋に冷や汗が伝います。 染谷千秋 : 「……ああ。俺は伝染病にかかって、しばらく行方をくらませてた。千冬を拉致しようとして、……そこで撃たれた」千冬の話から省かれている情報を伝えます。 染谷千秋 : 「……前に似たようなことがあった。別の世界に精神だけが連れていかれて、選択を迫られるんだ。そこで苦しむ姿を笑って見てるやつがいた。 ……その時も今回も、ただの悪夢だと思ってたけど、……違うみたいだな」 染谷千冬 : 「……その話、聞いたことがないな。……いや、」自分には言えと言ったのに、千秋は教えてくれないのかと少しむっとした表情をします。しかしその会話より前に起こったことかもしれないのと、今日この夢の話をするために、一度引き下がります。 染谷千冬 : (……この夢が俺たちだったのなら。俺は……) 染谷千冬 : 「……千秋、『話しても無駄』なんて言わないでほしい。確かに、俺たちの考え方は同じにならないかもしれない。でも、諦めたくない。千秋の思うこと、感じること、全部教えてほしい。……千秋を、こんなふうに失いたくない。俺は千秋を知りたい、理解したい……」 染谷千秋 : 「……『話しても無駄』?……俺が、千冬に?」 染谷千秋 : 「……、……ああ」錯乱していた状態での発言だったため、思い出すのに時間がかかります。 染谷千秋 : 「悪い。あれは、……千冬と話しても無駄って意味じゃなくて……、あの場で話すのが無駄って意味だ」 染谷千秋 : 「……俺はあの時、千冬がどう答えようと連れ去るつもりだった。 屋上から飛び降りた先に、海外に通じる『門』を用意してたんだ。だから、俺は千冬を連れて屋上から飛び降りさえすればよかった。あそこで千冬の考えを聞く必要が無いと思った。……俺達が話す分だけ、警察に考える時間を与えるだけだから。 俺があの時話そうとしてた言葉は、ただの千冬への八つ当たりだった。 逃げる可能性を低くしてるだけだって気付いて……、その先は無駄だと思った。……だからそう言った。 千冬を話しても無駄だなんて、思ったことないぜ。安心しろよ」 染谷千冬 : 「……そう、だったのか。そうか……」 話すことを諦められたわけではないこと、あの瞬間に死のうと思っていたのではないことに安心しますが、自分が抵抗しなければ千秋は死ななかったのではないか、という考えが一瞬頭をよぎり、表情を曇らせます。しかし今考えても仕方のないことなので、思考を振り払います。 染谷千冬 : 「……今、八つ当たりしてもいいぞ」 染谷千秋 : 「……、……」しばらく千冬を見つめた後、ふ、と笑ってその身体を抱きしめます 染谷千秋 : 「『……なぁ千冬、ここで死んだら終わりだよな?さっき言ってた希望とやらも、……人類もさ』」 染谷千秋 : 「『ここで死にたくねーだろ?……じゃあ、俺と来るしかねーよな。来るって言えよ」 染谷千秋 : 「『……千冬は俺と一緒に生きる。俺の側で生き延びて、……、そして二人で一緒に死ぬんだ』」 染谷千秋 : 「千冬の幸せも、苦しみも、……喜びも、悲しさも。全部、俺だけが知ってればいい。千冬は誰にも渡さない」 千冬の言葉に乗ってあの時言おうとしていた八つ当たりの言葉と、今もなお思っている言葉を口にします。 そう言って身体を離し、千冬の顔を見て微笑みます。 染谷千秋 : 「……初めはさ、千冬の選択を受け入れるつもりだった。……。……けど、駄目だった」 染谷千秋 : 「……俺が前に怖いって言った、『千冬に置いていかれること』は、……千冬が死ぬことだけじゃない」 染谷千秋 : 「千冬が俺の側からいなくなって、俺の知らないところで苦しむのもそうだ。 ……千冬にはありのままでいてほしい。幸せに笑っててほしいのに、それを、……知らないヤツに曲げられるのが嫌だった。 千冬がそれで良いって言っても、……俺が嫌なんだ。受け入れられない。 世界のためだとしても、……何もせずに見送るなんて、俺にはできない」 染谷千冬 : 「……」自分からも抱きしめて、後頭部を優しく撫で続けます。 染谷千冬 : 「……ふたりで一緒に生きようと、約束した。千秋は、俺と『一緒に』生きたかったなんだな。……俺は、ふたりで『生き続けたかった』。終わりのある幸せより、ずっと続く幸せが俺は欲しい。それがあるかどうかわからなくても、可能性がある限り、俺はそれを信じたかった」 染谷千冬 : 「……俺はたぶん、千秋が自分の意志で死ぬのを選ぶこと、千秋が生きるのを諦めてしまうこと、が怖いんだ。電車に飛び込んだ時、俺の嘘の言葉を信じた時みたいに……」 染谷千冬 : 「……だから『俺と一緒に死んでくれ』と言われても、応えられなかった。それで俺はあの時、千秋の持つ銃を奪おうとした。……相手は俺を殺したくないはずだから、俺がその銃で自分の身を盾にして、千秋を安全なところまで逃がそうと考えていた」 染谷千冬 : 「……その結果、千秋は頭を撃たれて、殺された。……千秋を殺した人間のために、この身を捧げようとは思わなかった。それより千秋の言った、一緒に死んでほしいという願いを叶えたかった。だから俺も死んだ」 染谷千冬 : 「……きっと千秋みたいに、割り切るほうが賢い。それでも諦められなくて、抵抗して。結局何もできなかった……俺は、馬鹿だ」 染谷千冬 : 「……もし千秋が逃げれていたら、俺は何とか抵抗して、千秋に優先的にワクチン接種をさせるつもりだった。完全に身柄を拘束されたとしても、千秋が生きているなら俺は幸せだ。それにいつか、行動が自由になる日が来るかもしれない、と思っていた。……でも、そんな俺を千秋が幸せだと思えないのなら、俺が傍にいないと幸せじゃないのなら……意味がないかもしれない」 染谷千冬 : 「……前に、一緒に地獄へ落ちようと言ったな。でもやっぱり、俺は希望がある限り生きたい。……その時、判断を下せるのは、千秋なんだと思う。だから」 染谷千冬 : 「千秋が無理だと思ったら、俺の同意なんてなくていい。俺を引き留めてくれ。千秋が望むなら、俺を殺してくれ。千秋の幸せが、俺の幸せだから。俺は全部受け入れる」 染谷千冬 : 「……でも、千秋にもなるべく生きようとしてほしい」千秋の耳元でぽつぽつと、あの時考えていたこと、今感じていることを語ります。 染谷千秋 : 「千冬……」自分が死んだ直後に千冬が自殺したこと、それの理由、そして千冬が抵抗した理由が自分の想定していたものとは違っていたので狼狽えます。 染谷千秋 : 「俺は……、……千冬が俺より世界を選んだんだと思ってた。 それが嫌とか、そういうんじゃない。……それを選ぶのは当たり前のことだから、別に良い。 ……けど、それで千冬が犠牲になんなら話は別だ。俺はそれを許せないのに……、千冬を引き留める手段がなかった。……それを阻止するために俺にできることは、せいぜい命を引き合いに出すことだけだと思った。……それで、少しでも千冬が振り返る理由になるのなら、それで構わないって」 染谷千秋 : 「……でも、そっか。千冬は、それが怖かったんだな。……」 染谷千秋 : (俺は、……千冬が俺を好きな気持ちより、俺が千冬を好きな気持ちの方が大きいと思ってた。俺と違って、……自然を愛してる千冬は、俺がいない世界でもきっと生きていける。だからいざとなったら、約束を破ることになっても……、俺が死んでも、千冬のために行動しようと思ってた。 最終的に幸せに生きてくれるなら、多少の悲しみは仕方ない。……けど、千冬の幸せに、俺が生きていることも含まれてるのなら、俺の今までの行為は……) 染谷千秋 : 「……ごめん。千冬の気持ちを、ちゃんと理解できてなかった」今まで、どこかで仕方ないと思っていた自分の軽率な行動が、ずっと千冬を傷つけていたのだとようやく理解します。 染谷千秋 : 「……」(ふたりで『生き続ける』、か。……) 染谷千秋 : 「俺は、千冬に生きてほしい。好きなものに囲まれて笑っててほしい。それだけで、その姿を見てるだけで、俺は十分幸せなんだ。……ま、その隣に俺がいられたらもっと幸せだけどな」 染谷千秋 : 「……前に、千冬が死んだら俺も死ぬって言ったけどさ。俺が例え死んでも……、千冬には生きてほしいんだ。始めは悲しくても、……好きなもの見て心癒して、少しずつ立ち直って……、そんで幸せになってほしい。そして、千冬にはそれができる。……俺はそう思ってる」 染谷千秋 : 「だから、俺が千冬を殺したいって思うことは、きっとない」 染谷千秋 : 「……また同じようなことが起こった時、俺は……、千冬みたいに強くいられねーかもしんない。 好きなものがどうなってるかも分からない世界で生き続けるのは、俺にはきっと耐えられないから」 染谷千秋 : 「……けど、千冬がその先をみてて、それすらも幸せだっていうんなら……、俺は千冬を、……千冬が信じる希望ってものを、信じてみたいと思った」 染谷千冬 : 「……千秋のその想像は、間違ってない。もし俺や千秋と世界が天秤にかけられた時、俺は今でも、世界を選ばなければいけないと思う。すばるに聞かれた時も、そう答えた。俺や俺の大切な人のために、他のものを犠牲にはできない。……そう思っていた。でも、俺が実際に選んだのは……その時にならないと、わからないものだな」 手を下ろして、腰に両腕を回します。 染谷千冬 : 「……でも、千秋が俺を殺したい、死んでほしいと思うことがないことは、わかった」 染谷千冬 : 「俺の幸せは、千秋の幸せ。千秋の幸せは、俺の幸せ。お互いに、生きていてほしい、満足でいてほしい、できればそんな相手の隣にいたいと思っているのに……俺たちは自分の幸せについて、二の次だったのかもしれない。千秋は生きるのを諦めて、俺も俺が犠牲になるような生き方をしようとしていた。何が悪いとは言えない、でもお互いのために……もう少し自分のことを考えよう」 染谷千冬 : 「……ふたりで一緒に、これから先も生き続けるために。俺の思う未来を、信じてくれると嬉しい。それが難しい時は……教えてくれ。千秋と一緒に考えたい」 染谷千秋 : 「ああ、わかった。……、約束する」 染谷千冬 : 抱きしめていた腕を解いて少し離れ、正面から頭を撫でます。その後、頬に手を添え、唇にキスをします。 染谷千秋 : そのキスを受け入れて、自分からも深く口付けます。千冬の頬にキスをしてから、ベッドに押し倒し、その首筋にキスマークをつけます。 「……また千冬に触れられて嬉しい」 染谷千冬 : 「……夢で良かった。生きていて良かった。側にいられて良かった。俺は今、幸せだ」 手を伸ばして肩を掴み、細かに指を動かして感触を確かめます。 染谷千秋 : 「……俺も」千冬の手を自由にさせながら、自分は千冬の首筋と鎖骨に所有跡を残していきます。

――そうしてあなたたちは、また一つ相手の幸せについて知りました。これから先も共に生き続けるために、あなた達はこれからも話し合っていくのでしょう。 これからどんな道を歩んだとしても、あなたたちはお互いの幸せを願うのでしょう。 願わくば、あなたたちふたりがずっと幸せでいられますように。

背景

某神話生物が夢の延長線で仮の世界をみせた。(夢オチorif世界を推奨しているシナリオです。夢オチの方を採用しました) 黒幕である神話生物はハスターリク。詳細はシナリオ配布先にて。

おまけ

◆ ルート分岐 千冬が逃げるルートを選んでいた場合、モブから千秋が感染症にかかっていることを知らされる。 その後逃げるか逃げないか、再度選択させる。 それでも逃げる場合は、世界滅亡エンド(門の創造でワープ後に千秋が血を吐く) 千冬が逃げるルートを一度選び、その後逃げないを選択した場合は、千冬を逃したい千秋とのSTR対抗に入る。

STR対抗に成功すると、千秋は力ずくで千冬を止められなくなるため、自殺を仄めかして千冬を止めようとする。自殺を仄めかされても逃げない場合、千冬拘束エンドへ。

STR対抗に失敗した場合、KPは1d2を振る。1が出たら千冬と逃亡エンド。千冬は千秋に監禁される。 2が出た場合はモブから銃を撃たれた千秋の幸運ロールへ。 幸運に成功した場合、腕・脚・拳銃のどれかに弾が当たり、千秋は無力化される。 幸運ロールに失敗した場合、頭・心臓・お腹に弾が当たり、千秋ロスト。

※お腹にあたった場合のみ、以下の台詞を言って息絶える。

染谷千秋 : 「死んでくれ、なんて嘘だ。……屋上から飛び降りれば海外に逃げれる。千秋、ここから逃げ、ろ……幸、せに……」

千冬が逃げないルートを選んでいた場合、千秋の正気度ロール発生。 正気度ロールに成功していた場合は、大人しく拘束される。

千秋が正気度ロールに失敗した場合、千秋は千冬を強制的に逃すために凶行に出る。 千秋とのSTR対抗を行う。 STR対抗に成功すると、千秋は力ずくで千冬を止められなくなり、モブ達に拘束される。その後千冬拘束エンドへ。

STR対抗に失敗した場合、千秋の幸運ロールへ。 幸運に成功した場合、腕・脚・拳銃のどれかに弾が当たり、千秋は無力化される。 幸運ロールに失敗した場合、頭・心臓・お腹に弾が当たり、千秋ロスト。

◆ 千秋の行動 千秋側の行動 体調不良 →病院行く →原因不明 →神話生物を通してシナリオの真相を知る →千冬が狙われてる事を知り、千冬に知らせようとする →邪魔のオンパレードが入る →連絡取ろうとしたら捕まるし、何も出来ない状態で千冬を送るのは嫌だった →邪魔されるわけにはいかないから携帯を廃棄し、独自調査開始 →門の創造を行い、千冬を逃がす手筈を整える(海外に繋げているためこの時点でPOW-12される。残りのPOW4) →千冬がどんな選択をしようと受け入れようとはしていた。そのため、千冬が自らの意思で選べるよう知っている情報を全て話した。 ※唯一、「自分が感染症にかかっている」ということは言わないようにしている。 自分が死ぬことを知ったら、千冬は迷わず自分の身を差し出すと思ったため。 フラットな状態で千冬に選んでほしかった。

千冬に話す前は千冬の選択を尊重しようとしていたけど、全て話して、実際に千冬が身体を差し出す、ってなってから、止めたい気持ちが勝ってきてしまった。

◆ 千冬との会話裏側 ※POWが低くなっているためひどく錯乱しており、以下の思考・感情に振り回されている。 ・千冬を信じてその選択を尊重したいという理性と、きっとどうにもならないから千冬を逃したい本音。 ・千冬に対する執着と、「二人で話す」という約束を守りたい気持ち。 ・自分達のために千冬を犠牲にすることに抵抗がない世界への怒りと、「絶対に自分から離れず、一生一緒にいる」という千冬の言葉は嘘だったのかという悲しみ。 ・自分には千冬を守る力がないという無力感と、死んででも千冬を逃さないとという使命感。

***

染谷千冬 : 「……なおさら嫌だ。死ぬのをただ待つなんてできない。今すぐにでも俺の血を研究してもらう」 染谷千秋 : 「……ワクチンの開発にも時間がかかる。俺が死ぬ前に完成するかわからない。 ……それに俺はもう犯罪者だ。ワクチンが完成したとしても、優先度は低いだろうな」 染谷千冬 : 「…俺は希望を捨てたくない。千秋も、……それにすばるも。皆本当は生きたい、望んで死にたくなんかない。なら、僅かな可能性にでも賭けたい」 染谷千秋 : 「…………」

染谷千秋 : (千冬だって望んでるわけじゃない。勝手に責任を負わせられる立場になって、仕方がないから望まされてるだけだ。……可能性の話なら、千冬が俺と逃げたって、千冬以外の抗体が見つかるかもしれない。千冬が犠牲にならなくたっていいだろ。俺と二人で生きるって言ったのは嘘なのかよ。……、違う。状況が状況だ。 ……千冬がどう思うか聞くために全部話したんだ。千冬の意思を尊重しよう。……)

お互いの主張を曲げないまま、あなたたちの会話はいつまで経っても平行線だった。 「そこまでだ!彼から離れろ!」 突然、怒鳴り声が響いた。 ビルの屋上にはいつの間にか何人もの銃を持った人々が立っており、こちらを取り囲んでいた。

染谷千秋 : sCCB<=(16-12)*5 【POW × 5】 門の創造で使ったpow12をPOWから引き5でかけた数 成功したら大人しく渡します。失敗したら渡しません。 (1D100<=20) > 52 > 失敗

それと同時に体を引き寄せられ、あなたのこめかみには硬く冷たいものが押し付けられた。

染谷千秋 : (……駄目だ。千冬を犠牲にさせるかよ……!)

染谷千秋 : 「……それ以上近付いたら、撃つ」

***

染谷千秋 : 「……なぁ千冬、ここで死んだら終わりだよな?」 染谷千秋 : 「さっき言ってた希望とやらも、……人類もさ」 染谷千冬 : 「……そうだな」 染谷千秋 : 「……もういい。話しても無駄だ」

染谷千秋 : (ここで千冬を脅す意味がない。無駄だ。 千冬が俺の言葉に同意しようと、同意できなかろうと、俺のやることに変わりはないんだ。 強制的に千冬に同意させたいわけじゃない。千冬は俺の言葉に耳を貸さなくていい。 もういい。答えなくていい。

……はやく門に移動しねーと。千冬だけはだめだ。絶対に。 千冬を連れて行かれるぐらいなら、俺は死んでもいい。千冬と生きれなくてもいい。 だから千冬だけでも逃さねーと。……ああ、クソ。頭が上手く働かねー。

なあ千冬。約束、覚えてるか。 一生一緒にいるって言ったこと。 千冬が俺を連れて、九州に引っ越したみたいにさ。海外に行こうぜ。 世界を捨てるんじゃない。……ただ、引っ越すだけだ。 残り僅かな時間だって構わない。 千冬以外の抗体が見つかるまで、俺と逃げて、生きようぜ。 生き延びて、……、そして二人で一緒に死ぬんだ)

染谷千秋 : 「千冬。……死んでくれ。俺と一緒に」千冬のこめかみに銃口を押しつけ、後退りながら千冬を連れて行こうとします。